東京×建築 Vol.1
Posted on 2012.11.19
written by 各務太郎

はじめまして。

カガミタローと申します。

しがないサラリーマンコピーライターをしています。

どうぞ遠慮なくタローと呼んで下さい。

 

今回、ひょんなことから、

「東京について好き放題語ってもらえないだろうか?」と言われ、

これはもう願ってもないチャンスだと思い、

なんのプロフェッショナルでもない私で良ければと、

こうして筆を執らせていただくことになりました。

 

テーマは『東京×建築』。

 

東京と建築を語ると言っても、

建築雑誌に載っていることを、

この場を借りて

わざわざ紹介していくのはあまりにももったいない。

(しかもそんな専門的なこと書けません…)

そこで私が個人的に好きな話題をつまみ食いしながら、

東京と建築についてギリギリかするかどうかの

ラインを攻めていきたいと思います。

みなさんの東京や建築を見る眼が少しでも変われば。

そんな傲慢な思いで頑張っていきたいと思います。

 

そもそもコピーライターと建築に一体どんな関係があるんだ?

という話はまたの機会に。

 

第1回目は、

『建築の二人の親』

について。

 

ところで東京で最も有名な建物と言えば?

 

おそらく答えは、

ほぼほぼ全会一致で東京タワーでしょう。

スカイツリーがどんなに話題になっても、

東京タワーのカリスマ性には叶いません。

 

今回は、

建築がカリスマになっていくプロセスで重要な要素である、

建築の「産みの親」と「育ての親」の存在についての話です。

 

例えば。

みなさん社長室と聞いて、

どんな空間を思い浮かべるでしょうか?

大理石の床に皮張りのソファ、

ガラス張りの壁に高価な彫刻。

なんとなくとは言え、

ここまでみんながイメージを共有できるデザインは

立派なカリスマ建築と言えるでしょう。

 

この社長室のイメージの起源は、

建築家ミース・ファン・デル・ローエのデザインと言われていますが、

建築学科生や家具好きでもない限り、

あまり馴染みのない名前だと思います。

 

それでは何故、

社長室に頻繁に入る機会があるわけでもなく、

建築の歴史の授業を受けたわけでもないのに、

このイメージを想起してしまうのか。

 

実はこれ、

一九二〇年代と一九三〇年代のハリウッド映画の影響なんです。

当時の映画は一様に、

モダニズムデザインの住宅から、

最新式の近未来風のオフィスに出勤するという

ライフスタイルを描いていました。

 

当時、大衆に圧倒的な影響力を持っていたハリウッド映画。

その業界の中にいたほんの数人の美術監督が

近未来の理想的な生活像を大衆に示すために、

極めて個人的にミースから引用した舞台装置のデザイン。

しかし観客の多くは、大都会では既に、

こんな生活は始まっているのだろうと

錯覚を起こしてしまいました。

 

「社長室とは、こういうものだ」という先入観を、

設計者であるミース(建築の産みの親)ではなく、

ハリウッド映画の美術監督(建築の育ての親)が植え付けたのです。

 

建築界において影響力を持っていたのは、

建築家ではなく、そのデザインを模倣し、

マスメディアに流した映画の美術監督でした。

 

ここで東京タワーの話に戻りましょう。

設計者(育ての親)である内藤多仲のデザインは、

言うまでもなく素晴らしいものです。

あのカタチがあったからこそ、

東京のシンボルになり得たことは確かです。

 

それでは「育ての親」は誰でしょうか?

 

おそらくそれは、

バブルの頃のトレンディドラマ。

もっと言えば他の追随を許さない視聴率を誇った

『東京ラブストーリー』でしょう。

オープニングのファーストカットから、

大事なシーンの背景にいつもそびえる東京タワー。

東京にいた人も、いなかった人も、

都会のライフスタイルのど真ん中にいつもある東京タワーを、

テレビによって無意識に刷り込まれていったのです。

 

現在は悲しいことに、

テレビドラマや映画がかつてほど大きな影響力を

持たなくなってしまったように思われます。

スカイツリーが東京タワーにかわる

新しい東京の心象風景になるための

育ての親がいないということです。

 

少なくともマスメディアには。

 

しかしたった一人のつぶやきが、

ほんの数分の間に何万人の人にも

伝播してしまう時代。

 

ソーシャルメディア時代だからこそ、

カリスマにのし上がれるような新しい建築。

そんな建築が生まれるのも、

時間の問題かもしれません。

 

(続きます)

各務太郎

Copywriter / CM planner, Dentsu Inc.
Department of Architecture, Waseda University
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